精神科の外来・入院の患者さんは、約420万人。8人に1人がうつの経験者。この数字は、うつ病が決して他人事ではないことを示しています。
女性のうつ病の有病率は男性の約2倍。うつ病にならないためには「体」「人間関係」「知識」が大切と早稲田メンタルクリニック院長の益田裕介医師は言います。
なぜ、女性にうつが多いのでしょうか?主な要因は、①ホルモンの変動、②ライフイベントにあるとされています。
詳しくは、次の章で解説します。
女性特有のホルモンの変動とライフステージがうつ病の引き金に?
「うつ病ナビ」では、女性のうつ病は経験するライフイベント(結婚・妊娠・出産)やその時期のホルモンの変化が女性の心身に大きな影響を与えるという。
たとえば、「月経前不快気分障害」ですが、月経の14日以前に起こる落ち込みやイライラ、不安、頭痛,食欲低下、過食等の様々な症状のことです。勿論、月経が終われば、症状は軽くなり自然と良くなりますが、年々ひどくなる方もいます。
また、「マタニティーブルーズ」とは妊娠中や出産後にふいに涙がとまらなくなったり、イライラしたり、落ち込んだりする症状のことです。出産を経験した女性の約3割は経験するものです。一過性のものですが、症状が長く続く場合、産後うつの移行する場合もございます。助産師や産婦人科医に相談なさることをオススメしますとは、日本産婦人科医会。
「更年期うつ」にはのぼせ、発汗、動悸、息切れ等の症状があり、多くの女性が経験します。が、何もやる気が起こらないようなうつ症状が強くなると、「更年期うつ病」になる場合もあります。婦人科に加え、精神科や心療内科の受診も考えてください。 また、仕事と育児・介護の両立や夫の転勤、睡眠時間の短さなど、女性特有の社会的ストレスや役割分担、結婚などのライフイベントも女性のメンタルヘルスに影響があります。
セルフマネイジメントでメンタルを整える―精神科医が語る3つの柱
さて、精神科医で早稲田メンタルクリニックの益田裕介(ますだゆうすけ)氏は著作『眠れなくなるほど面白いメンタルの話』の中で、こう述べています。

第1に「体」
第2に「人間関係」
第3に「知識」であること
メンタルが崩れるときは、大抵は「体」「人間関係」「知識」も一緒に崩れていると言っています。
本記事では、以上3つの視点をベースに他の専門家の知見も加えて展開します。
第1の柱:「体」を整えることがメンタルの土台
益田医師は「頭と体がつながっているため、体の調子がよくならないと、メンタルも健康にならない」と言う。
では、体の調子を整えるためにはどうしたらよいか?
については、規則正しい生活・食生活・睡眠や運動が必須ですと言う。
なぜなら体の調子が悪いと、ちょっとしたことで傷ついたり、怖く感じたりしてしまうのです。そういう脳の変化が起こります。ですので体の調子を整えること第一に大切なことです。
第2の柱:「心地良い人間関係」がメンタルを支える
人間とは一人ぼっちでは生きられない「生き物」です。人間は集団で生きる生き物ですから、その集団の中で、生きやすいように心地良い人間関係が大切です。
第3の柱:「知識」を持つことで、メンタルが病気になるのを防ぐ
「心理教育、脳科学や精神医学のこと、自己理診断や病気や診断の理解、家族関係、生い立ち、ライフステージに応じた悩み」などを学ぶべきと益田先生は言います。学ぶことがメンタルが病むことを回避できる手段だからです。
以上、益田医師は「体」「心地よい人間関係」「知識」の3要素が健全なメンタルライフにとって大切だと言います。
メンタルは1日1万2千歩で整う?
益田医師は、「実際にはなかなか1万2千歩も歩けてない」と述べつつも、ウォーキングの効用を強調しています。
心肺機能の強化や血流の改善、生活習慣病の予防、肥満予防や改善、ストレス解消、ポジティブな気分になり、質の良い睡眠といった様々なことにつながります。うつ症状や睡眠障害の緩和にも有効とされます。
朝ウォーキングのすすめ
精神科医の樺沢紫苑(かばさわしおん)氏、脳科学の茂木健一郎氏は朝散歩の提唱者です。とりわけ茂木氏は、朝散歩の途中でコンビニに立ち寄り、チョコレーを買うのが日課だそう。
また、樺沢(かばさわ)医師は、「ウォーキングだけではうつ病は治らないですが、長く続けることによって、安定した精神状態を保てる」と述べています。
特に、朝日を浴びながらのウォーキングはセロトニンが活性化され、心身に良い影響を与えるとされています。
食生活もメンタルに影響をあたえる?
特別な食事を意識するよりも、規則正しく、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。益田医師は「病院食や小学校の給食」をイメージすると良いと述べています。
メンタルはスキル!鍛えれば伸びる!―ビジネスマンが考えるメンタルとは?
「デロイト トーマツ コンサルティング」社のディレクターである木部智之氏は「メンタルはスキル」として捉えています。(※但し、精神科医の指導を受けている方はこのメソードをお控え下さい)
200名の部下を持つチームリーダーである木原氏は苦しい状況を乗り越える力を「訓練によって培った」と語っています。
木部氏のメンタルトレーニング3ステップ
苦しい時の状況をノートに書き出す。なぜ苦しいか?どうしたらよいのか?を整理する
- 苦しい時の状況をノートに書き出す。なぜ苦しいか?どうしたらよいのか?を整理する
- 自分の成長を見返す
- 感情を制御し、論理的にに受け流す
例えば、報告の場でとちったりして、何か言われると、感情的になり、論理的に説明ができなくなったり、無用な摩擦を起こしてしまうことがあります。
そうならないように、「ロボットになったつもりで」と自分にいいきかせて」感情的にならないように上がりがちな気分を抑える、つまりは感度を下げるトレーニングをします。
メンタルを保つためには、「言葉」や「音楽」を持つ
「いばらの道も道は道!」
「10万の兵力の相手に対して、6万の兵力で闘え」
このようにくじけそうになったり、負けそうになった時に自分を鼓舞するようななものがあると、乗り越える支えになります。
スタンフォード式ストレスを力に変える方法!

ここまで、心の健康を保ち、メンタルを強くするために大切な視点を見てきました。では、「メンタルが強い」とは、具体的にどんな状態を指すのでしょうか。
スタンフォード大の健康心理学者であるケリー・マクゴニカル氏は、ストレスのことを含めてこう言います。
「ストレスに強くなる」というのは、ストレスを避けることではなく、ストレスを経験する中で自分自身を積極的に変えてゆくことなのです」とケリーは言います。
それは、筆者流に言わせていただければ、ストレスに強くなるとは、メンタルを強くすると言い換えても良いかもしれません。そのプロセスこそが、ストレスに強くなるという健康心理学なのです。
まとめ
本記事では、次のポイントから「メンタルを強くする方法」について解説してきました。
1、メンタルを整える3つの柱、「体」「人間関係」「知識」
2,朝のウォーキングや食事改善が予防に効果的
3、ビジネスパ―スンのメンタルはトレーニング可能なスキルとされている
4、スタンフォード大「健康心理学」
それぞれの分野でメンタルの扱い方はちがいます。精神科医の益田裕介医師は、「メンタルは整えるもの」。ビジネスパーㇲンの木原智之氏は、「メンタルはスキル」と語っています。分野は違っても、共通するのは、「メンタルは変えられるもの」という前向きな視点です。
この記事が少しでも皆様の健やかな生活に役立つことをいのりつつ、パソコンを閉じます。
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